Termal OS と Datadog。
Datadog はオブザーバビリティのひとつの銀河です。Termal OS は道具ひとつ。機能を一つずつ突き合わせるのは不誠実なので、ここでは本当に意味のある比較だけを書きます。
短い答え
Datadog を本気で検討しているなら——分散したサービス、十いくつのマイクロサービスにまたがるトレース、ログの検索、オンコールの当番、ひとつの開発組織——Termal OS はその代わりにはなりませんし、代わりに選ぶべきでもありません。ダウンロードしたあとで気づいていただくより、ここで申し上げます。
この比較が現実味を持つのは、もっと小さな用件で Datadog にたどり着いた方々です。数台の Linux サーバー、いくつかのウェブサイト、そして「ディスクが埋まったら知りたい」という要求。ホスト単位の月額に従量課金が乗るプラットフォームが、釣り合わなく見えはじめるのはそこからです。
Datadog のほうが優れているところ
自分の土俵では、ほとんどすべてです。具体的には。
- 守備範囲。指標、ログ、トレース、APM、実ユーザーモニタリング、合成監視、セキュリティ、Kubernetes、そして数百のサービスとの連携。Termal OS がやるのはシステムの指標とサーバーの管理です。一覧はそれで終わりです。
- 常時稼働、規模を問わず。エージェントが、誰のノートパソコンとも無関係に、数千のホストと短命なコンテナーにわたって収集し続けます。
- チームのための仕組み。成熟した権限管理、SSO、監査、オンコールの流れ、そして大勢で共有することを前提に作られたダッシュボード。
- つなげて見ること。レイテンシーの跳ね上がりからトレースへ、そしてそれを引き起こしたログの 1 行へ飛べる。これは本当に価値があり、Termal OS にはまったくできません。
本当の違いは 3 つ
機能一覧で張り合うふりをするかわりに、小さな Linux サーバー群で Termal OS を使うと実際に何が変わるのかを書きます。
- データがパソコンから出ません。これは機能ではなく、構造の違いです。Datadog は SaaS です。テレメトリーは彼らのクラウドへ行き、まさにそれが上に書いた「つなげて見ること」を可能にしています。Termal OS はデスクトップアプリです。指標はローカルの SQLite に置かれ、SSH の認証情報は AES-256-GCM でローカルに暗号化され、こちらのサーバーが目にするのは終始ライセンスの確認だけです。データの置き場所に制約がある方、あるいは単にサーバーのテレメトリーを第三者に渡したくない方にとっては、これが決め手になります。実際に何が外へ出るのかは、セキュリティのページにすべて書いてあります。
- サーバーには何も入りません。Datadog はホストごとにエージェントを必要とします。Termal OS が使うのは、すでにお持ちの SSH 接続です。だからこそ、エージェントの導入がそもそも選択肢にならない共用サーバーやマネージドホスティングでも動きます。
- 請求書がサーバー数と一緒に膨らみません。Datadog はホスト単位の月額で、その上にログ・APM・カスタム指標の従量課金が乗ります。規模が大きくなるにつれて費用が読みにくいことでよく知られています(現在の金額は公式の価格ページをご覧ください。変わる数字をこちらから引用することはしません)。Termal OS は定額の年間ライセンスで、サーバー 1 台・ユーザー 1 人なら無料、Preview の期間中は 3 台まで無料です。
そして、監視とはまったく関係のないおまけの違いをひとつ。Termal OS には本格的なリモートデスクトップ——SFTP エクスプローラー、ターミナル、コードエディター、ブラウザー——が入っています。問題に気づいたその窓が、そのまま直す場所になります。
並べて比べる
| Termal OS | Datadog | |
|---|---|---|
| テレメトリーの置き場所 | お使いのパソコン | 彼らのクラウド |
| 監視対象のサーバーに入るもの | なし | エージェント |
| 料金の仕組み | 定額の年間ライセンス | ホスト単位 + 従量 |
| 共用サーバーで動くか | 動く | 動かない |
| APM、トレース、ログ検索 | - | 非常に広い |
| 外部サービスとの連携 | - | 数百 |
| 大規模な Kubernetes / コンテナー | Docker のみ | 対応 |
| 離席中も収集するか | アプリの起動が必要 | 常時 |
| 自作のダッシュボード | 画面は固定 | 自由に作れる |
| リモート管理(ファイル、シェル、エディター) | 内蔵 | 役割の外 |
| 現実的なサーバー台数 | 数十台 | 上限なし |
どちらを選ぶか
Datadog を使い続けるとよいのは、分散したサービスを動かしていて、トレースとログの相関が要るとき。オンコールの当番があるチームがいるとき。大規模にコンテナーを監視しているとき。あるいは、オブザーバビリティを専任で担う人がいるときです。ここに書いたことが、うまく噛み合っている道具から離れる理由になってはいけません。
Termal OS を見てみるとよいのは、ひとりで開発している方、フリーランスの方、あるいは数台の Linux サーバーとウェブサイトを抱える小さな制作会社。実際に見ているものに対してホスト単位の請求が釣り合わないとき。サーバーのテレメトリーを第三者のクラウドへ送れない、あるいは送りたくないとき。あるいは、それらのサーバーを見ている時間と同じくらい、管理する時間を使っているときです。
Termal OS のいまの立ち位置
- オブザーバビリティのプラットフォームではありませんし、近いうちにそうなる予定もありません。APM も、分散トレースも、ログの集約と検索も、ダッシュボードを組み立てる機能もありません。
- 収集にはアプリの起動が要ります。ウィンドウを閉じても問い合わせは続きますが、マシンが起きていて、保管庫が解除されている必要があります。Datadog のエージェントにこの制限はありません。無人で 24 時間通知し続けることが譲れない要件なら、この差は現実のものです。
- 小規模、Linux のみ、SSH 越し。数台から数十台のサーバー。SNMP も Windows もネットワークの自動探索もありません。
- 0.x 版、公開 Preview の最中。Windows と macOS のビルドはまだ署名されておらず、その結果として自動更新を意図して無効にしています。